教えて!よしかた先生

PMS編

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PMS(月経前のイライラ、肌あれ、体調不良)に悩んでいる方は多いようです。

よしかた産婦人科院長であり、女性のヘルスケアについて積極的に取り組まれている善方裕美先生に、
PMSの症状が重くなる要因やセルフケア、病院でのPMS治療について伺いました。

PMSってなに?

おなかが痛い様子

月経前症候群「PMS(Premenstrual Syndrome)」とは、月経の約3~10日前から頭痛や吐き気、イライラや不安症状などの様々な体調不良をおこす状態のこと。
典型的な場合、月経が来ればスッキリ治ります。

症状は様々で個人差が大きく、仕事や学校に行けず寝込んでしまうほど重症なものから、ちょっとした心がけで普通に過ごせるくらいの軽い場合もあります。
ちゃんと治療ができる疾患なので、つらい時には一人で悩まず、産婦人科に相談しましょう。

代表的なPMSの症状

〇身体面
乳房の張り・痛み、下腹の痛み、腰痛、頭痛、のぼせ、めまい、吐き気、むくみ、便秘、肌荒れなど

〇精神面
イライラ・気分の落ち込み、集中力の低下、やる気が出ない、不眠・過眠、情緒不安定になる、理由もなく突然泣きたくなる、疲れ、だるさ、過食(甘いものが無性に食べたくなる)など

1.PMSの症状が重くなる要因はありますか?

PMSの原因について、まだはっきりわかっていないのですが、女性ホルモンの変化と、栄養不足、もともとの性格や体質、様々なストレスなどが関連するといわれています。
女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」は排卵後に上昇し、月経前には急激に減少します。この変化によって「セロトニン」という抗うつ作用のある脳の物質も低下してイライラ、ウツウツしてしまうのです。
 

でも、月経前に誰にでも起こる変化なのに、PMSにならない人がいるのはなぜなのでしょう?
PMSの重い人は、このホルモン変化に対して、身体と脳が敏感に反応してしまっていると思われます。
 

しっかり食事が摂れないと、栄養が偏り、たくさんセロトニンを作ることができず、エネルギー不足による「冷え」でPMSを悪化させてしまいます。
また、急な環境の変化や緊張状態が続いた時は要注意!ストレスが強い状態はPMSを悪化させます。もともと几帳面で完璧主義な方はストレスをためてしまいがちなので、PMSが重くなりやすいと言われています。

日々の生活にゆとりを持って、「まあ、何とかなるさ~♪」くらいの楽天的な思考で過ごせると良いですね。

2.PMSのセルフケアの方法を教えてください。

「ホルモンの変動に負けない強い身体づくり」と「上手にストレス解消」することがセルフケアのポイント!
身体づくりに欠かせないのが良質な食事・運動・睡眠です。

朝食をきちんと食べていますか?まず、必要なカロリーを摂ることが基本。
セロトニンを増やすビタミンB6(赤身の魚、ささみ、ひれ肉、バナナ、ナッツなどに多く含まれます)、ミネラルの多い食事はPMSを軽くすると言われています。

適度な運動で筋肉を増やすと、新陳代謝が上がり、冷えを改善できます。
また、しっかり睡眠をとることで、ホルモン分泌の流れがスムーズになります。

ストレス解消は、好きなこと、楽しめることならどんなことでもOK。
音楽を聴く、アロマテラピー、友達とおしゃべり…リラックスできる時間を過ごせるように、ご自分のやりたいことを探してみましょう。

『自分はまじめで完璧主義かしら、、、』と思う方は、PMS改善のために、ご自分の考え方のクセに気づくようにして、『ほどほどで良し』『何とかなる』と気持ちを緩めてみてください。

また、事前にPMSになる時期を把握するために、日頃から基礎体温をチェックしておくのもよいでしょう。
月経がいつ来るのかを予測できれば、PMSの症状が出る時期にはあらかじめゆとりのあるスケジュールを組むなどの対策をとることもできます。

外で運動をしている様子

3.医師に相談した方が良いという目安はありますか?

善方先生が説明

セルフケアで改善しない場合、産婦人科で相談することをお勧めします。
学校や会社を休むほど症状が重く、日常生活に支障が出てしまうまで我慢するのはよくありません。

PMSは保険診療が可能で、病院での治療で改善する可能性があります。
治療でスッキリ改善し、「もっと早く来ればよかった!」とおっしゃる患者様も少なくありません。

産婦人科を受診することに抵抗感のある方もいると思いますが、内診台での検査は必須ではなく、不安な時はその気持ちを初めに伝えておけば配慮してくれるはずです。

受診の際は、PMSと感じる症状をきちんと医師に伝えられるように、月経の周期とPMSの症状をメモしておき、計っている人は基礎体温表を持参しましょう。

4.病院で受診すると、どのような治療をするのでしょうか?

まず、症状と月経の関連について問診します。
いきなり内診台での診察ということは一般的にはありません。
でも、初めての産婦人科受診で不安な場合、先に伝えておくと良いでしょう。

症状と月経周期をメモしたものがあるとスムーズに問診ができますので、ぜひ持参してください。
過去3周期分の月経前すべてに同じ症状があり、月経がはじまると症状がなくなる場合はPMSと診断されます。

PMSの症状は一説に200種類以上あるといわれ、多種多様な症状に対して、生活改善のための栄養や運動の指導、カウンセリングをおこない、女性ホルモン剤(低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤)、漢方薬や抗精神病薬などを使って治療します。
気管支喘息などのアレルギー疾患、パニック障害やうつ病などの精神疾患、甲状腺機能異常症などは、「月経前に悪化する基礎疾患」であることがわかっていて、純粋なPMSではなく基礎疾患の悪化であると判明すると、産婦人科だけの治療では困難。内科や精神科での治療が必要となることもあります。

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