教えて!よしかた先生

生理が遅れる原因と受診のめやす

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いつもはちゃんと来るのに、生理が1カ月も遅れている・・・
妊娠?病気?病院行った方がいいかな?

生理が遅れる原因を教えて下さい。

原因として考えられることの一つ目は「妊娠」。そして、二つ目は卵巣と脳の「ホルモンバランスの乱れ」によるものです。
ホルモンバランスの乱れには、様々な要因が考えられます。

・ホルモン分泌の不調による乱れ

普段はしっかり28日周期で生理が来ていたのに、今月は生理予定日から2週間も空いているのにまだ来ない…。この様な場合、ダイエットして1か月で一気に3Kg痩せたとか、急に職場環境が変わって不安に感じることが多かったとか、大切にしていたペットが天国に行ってしまった…など体調や環境に変化があることがよく見受けられます。身体や心に強いストレスが加わって、脳から卵巣に向けてのホルモン分泌が不調になり、生理が遅れてしまうのです。

・病気による乱れ

もともと、生理の周期は一定ではなかったけど、段々周期が長くなって、もう2か月も生理が来ていない…。この様な場合、「多のう胞性卵巣症候群」(※)という病気が原因かもしれません。「多のう胞性卵巣症候群:polycystic ovarian syndrome(PCOS)」(※)では、卵巣から卵子が飛び出す“排卵“がうまくできないため生理が遅れます。

※多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):卵胞の成⻑が途中で止まり、たくさんの⼩さな卵胞が卵巣内にとどまってしまう病気

正常な生理の仕組み

そもそも、生理が毎月きちんと来るということは
  1. 司令塔の脳視床下部から分泌された性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)を脳下垂体が受け取る
  2. 脳下垂体から卵巣を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が分泌される
  3. 卵巣がその刺激を受け取ってエストロゲン(卵胞ホルモン)と、黄体ホルモンを子宮に向けて分泌する
  4. 子宮はエストロゲンによって子宮内膜を厚くする
  5. 妊娠しなかった場合、卵巣からのエストロゲンと黄体ホルモンが急激に減る
  6. 子宮内膜がはがれて生理が来る
という1~6のホルモンの連係プレイが上手にできている証拠。この緻密な連係プレイに乱れが生じることで生理が不順になるのです。(図1参照)

女性ホルモンは女性のカラダと心に大きく関わっているので
ちょっとした乱れでも生理は止まってしまうんです

ホルモンの連携の図 【図1】 ホルモンの連携 出典:善方裕美「閉経の教科書」
ちなみに、PCOSは血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きが弱まることが原因の一つであり、遺伝や環境要因が関係していると言われています。血液検査でLH,FSHなどを測定し、超音波で卵巣に多のう胞の所見が見られるかどうかを確認して診断されます。

どれくらいの間生理がこなかったら婦人科を受診したほうがいいですか?

生理が初めて来て(初潮)から2~3年は、脳と卵巣のホルモン連携が未熟なので、生理不順になりやすい時期です。また、40歳以降は閉経に向かってゆっくりと卵巣機能が弱ってくるので、同じく生理不順になりやすくなります。およそ20歳代~40歳では、生理は順調であってほしいので、「生理がこない」ことを放置しないで欲しいと思います。
図2に正常な月経の定義を示しましたので、まずご覧ください。39日以上生理が来ないとことを「稀発月経」、3か月以上生理がないと「無月経」ということになります。

正常ではない周期、つまり39日以上生理が来なかったら、「あれ?おかしいな…。」と気づいていただきたいです。そして、まず妊娠反応薬をドラッグストアで購入し調べてみましょう。妊娠ではなかったとすると、脳と卵巣のホルモンバランスの乱れを疑うことになります。
正常な月経の説明図、正常月経周期と月経不順の分類図
排卵できている基礎体温の図 図2 正常な月経 出典:善方裕美「閉経の教科書」

婦人科に行く前のセルフチェック

婦人科に行く前に自分でできるチェックとしては、基礎体温を付けてグラフにしてみることです。朝、寝起きに口の中の体温を測るのですが、専用の婦人体温計でないと正確に測定できませんので注意してくださいね。最近では、測定すると自分のスマホに数値を飛ばして、自動的にグラフを作成してくれる様な体温計もあるので、無理なく続けられると思います。
基礎体温を1か月程度つけてみて、まだ生理がないとしたら、その体温表を持参して婦人科へ受診しましょう。おそらく、図3のように無排卵の状態になっているかもしれません。生理が来ていないと気づいてから、3か月以内には婦人科受診することをお勧めします。

無排卵周期の基礎体温の図 図3 無排卵周期の基礎体温 出典:善方裕美「閉経の教科書」

婦人科では、可能性がある場合は、まず妊娠かどうかを尿検査で妊娠反応を確認します。妊娠でなければ、超音波検査で卵巣が腫れていないか、異常がないかどうか確認し、ホルモンバランスの状態を血液検査で調べます。基礎体温をまだつけていなければ、今後の身体の状態を把握するために基礎体温を測るよう指導します。個々の状態に応じて治療方針を立てていきます。

採血のみの簡単な検査でホルモンバランスが分かるので婦人科に抵抗がある方も
「あれ?」と思ったら放置せずに受診してくださいね

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