スローランとおすすめレシピで、始めよう!未病改善
頑張らずにキレイをつくる!
Let’s スローラン!
限られた時間の中でも、バッチリと効果の出る運動が知りたい、しかもガッツリハードな運動は苦手・・・。
そんな方におすすめの運動について、パナソニックエンジェルス(パナソニック女子陸上競技部)コーチ 吉川 美香さんにお伺いしました!
吉川 美香よしかわ みか
パナソニックエンジェルス(パナソニック女子陸上競技部)コーチ(ロンドン五輪女子長距離日本代表)
出身地:神奈川県
出身校:神奈川県立荏田高等学校
現役時代の主な成績:日本選手権1500m 5連覇、2007年大阪世界陸上1500m日本代表、2012年ロンドンオリンピック5000m、10000m日本代表
女性におすすめスローラン 苦しくなくて効果は抜群!
限られた時間の中でシェイプアップ効果が出て、運動初心者でも始めやすい運動があるとか。それは何ですか?
スローランです!
お仕事や育児等に忙しい女性に向けてだからこそ、限られた時間でしっかり効果の出るスローランをおすすめします。
また、忙しい女性だからこそ、「自分のことを考える30分間」として自分自身を見つめる時間にしてほしいと思います。
「ラン」というとハードルが高い印象かもしれませんが、ペースとしては、ウォーキングよりも遅いので、お友だちと話しながらなど、楽しんで取り組むことができます。
まずは3分くらいから始めてみましょう!
スローランってどんな運動ですか?
ウォーキングでもなく、ランニングでもない、その両方のいいところを取った運動と考えてもらえたらと思います。
ウォーキングと比べエネルギー消費量が約2倍(※)なので、筋力・体力がアップしますし、シェイプアップにもつながります。筋力ということで言えば、ウォーキングは必ず片方の足が地面についていますが、スローランは両足が一度地面から離れて着地するので着地の際に、片足ずつの筋力アップに繋がります。
※「普通歩行」と「ゆっくりとしたジョギング」における「メッツ値」の違いによる。
参考文献 厚生労働省ホームページ
速さとしては、ランニングが約5~6分/kmのペース(競技レベルは約3~4分/km)で、ウォーキングは約7~8分/kmのペースです。一方、スローランは約9~10分/kmですので、ウォーキングの方に抜かれるペースでよいのです。お友だちと会話して、息切れしないくらいのイメージです。
「ウォーキングよりも遅いの?」と思われる方もいるかもしれませんが、普段の自分の歩幅の半分の幅で走っていただくものですので、自分自身のリフレッシュ・リカバリーに意識を向けてほしいと思います。
また、「ラン=外のスポーツ」と思われる方も多いかと思いますが、スローランは約9~10分/km のゆっくりとしたペースですので、3m程度のスペースがあれば室内でも行うことができます。ですから、天候や時間を問わず、好きな時に行うことができます。室内でやってみると、気づいたらテレビドラマが終わっていた!なんてこともありますよ。室内で行う場合は、3m~5mくらいの距離をくるくる往復しましょう。
週何回など、頻度の目安はありますか。
できれば週3回。週に3回、30分間を目指してほしいなと思います。
スローランの4つのポイント
スローランの走り方のポイントを教えてください。
ポイントは4つあります。
1.視線
1つ目は、視線。視線は、正面や斜め下を見ると前傾姿勢が作りやすくなります。
2.上半身(肩甲骨)
2つ目は、上半身。肩を下げて肩甲骨を後ろで寄せると、空気が入りやすくなり、呼吸が楽になります。
2.上半身(腕振り)
また、腕振りは、お腹の前で太鼓を叩くイメージで力まず振るようにしましょう。
3.股関節の倒し方
3つ目は、股関節。股関節を前に倒すイメージで前傾姿勢を作って、自然と前に足が出るようにしましょう。
両手を骨盤付近に当て、前に倒すイメージで前傾になってみると、正しい前傾姿勢をつくることができます。
骨盤を倒すことで前の筋肉ではなく、後ろの筋肉を使うことができますから、お尻回りや太もも周りのシェイプアップにつながります。
4.接地
4つ目は、接地。つま先から足を落とすフォアフット走法がおすすめです。
ウォーキングはヒールストライクという、かかとから落とすような接地方法、ランニングはミッドフットという、足全体で着いて体幹で落とすというような接地方法が一般的です。
一方、スローランはフォアフットがおすすめです。
フォアフット走法は、ケニアやエチオピアのトップランナーの走法として知られていて、ランニングで取り入れる場合には、筋力がしっかりと出来上がった選手が取り入れています。じゃあ難しいのでは?と思われる方もいると思いますが、ウォーキングよりもスピードの遅いスローランには適していて、足への負担も少ないと言われています。
接地のイメージとしては、その場でジャンプして着地する時のつま先の接地の感触です。
これら、4つのポイントを抑えて理想のフォームで走りましょう!
スローランを始めるコツ
運動はしたい。でも、このごろ身体も重いし、やっぱりハードルが高い、時間も無いな、という方に向けて、スローランを始めるコツを教えてください。
初めはウォーキング&スローランという形で、ウォーキング中に3分間だけスローランを入れてみてはどうでしょう。そして、ご自身でスローランが心地よくなってきたら、ウォーキング中に取り入れるスローランの時間や長さを少しずつ増やしていってください。これまで「運動=苦しい、辛い」と思われていたとしても、スローランは「楽しむ」ための運動として取り入れていただくことが1番のコツになってくるのかなと、思っています。
スローランを始めた時に、ウォーキングの方に抜かれても全く焦る必要はありません。自分は自分の運動をしているんだからと、自分軸で考えてくださいね。
また、「スローランを続けた先にはランニング」と捉える必要もありません。走り終わった後に自分自身が心身ともにスッキリ、リフレッシュした状態を迎えられるということが何より大切です。
もしもスピードを上げた時に、「私、今日頑張ったな」という充実感・達成感につながるのであれば、ペースを上げてランニングに移行するということもありますが、自分の中の「心地よさ」を大事にしてください。
スローランを続けるコツ
いよいよスローラン始めました、という方に、継続するためのコツを教えてください。
1人で走るのであれば好きな音楽を聴いて走ることもありますが、私自身がよくやっているのが、「スローランでどこかに行ってみる」ことや「旅先でスローランしてみる」ことです。旅行の際にバスや電車を使うのではなく、スローランで行ってみる(回ってみる)。すると、乗物から見るよりも、その土地をしっかりと見たり感じたりすることができます。
スローランを軸に旅行を計画したり、お友達とお話する時間としてスローランを取り入れたり、やはり「楽しむ」ことが 1番だと思いますし、楽しむことが続けることにつながるかなと思っています。
「旅先でスローラン」というお話でしたが、県内のおすすめスポットはありますか?
私の場合、箱根に旅行に行った時はもちろん坂道を走りますし、みなとみらいは目にも楽しい。みなとみらいは、夜走るなど、シーンを変えても楽しそうですね。
旅先などその土地を楽しみながらというお話でしたが、2012年ロンドンオリンピックに5000m、10000m日本代表として出場されるなどご活躍された吉川コーチにとっての神奈川の思い出をお聞かせください。
神奈川での思い出は数えきれないほどあるのですが、県立荏田高校時代は三ツ沢公園の桜が私にとってのお花見でした。三ツ沢の桜を見ると1年が始まったな、シーズンが始まったなという風に感じましたね。 三ツ沢公園は、競技人生での原点となる場所だったかなと思います。
シューズの選び方
スローランに適した靴はありますか。
反発は低く。そして、クッション性の高いシューズを選んでいただきたいです。
反発が高くなってしまうと、その反発に対抗できるような筋力が必要になってくるので、これからスローランを始める方には、反発性の少ない物をおすすめします。そして、足に優しいクッション性の強いものが良いと思います。
また、足を通した際のフィット感や感覚は大事にしてほしいです。今は、靴の幅も様々なものがあるので、足を通したときに幅、さらに、つま先・かかと・足の甲の4点が自分にあったものを選んでいただくとよいと思います。
靴のサイズとしては、普段の靴よりも1センチから1.5センチ大きいものを履いてほしいのですが、夕方に買いに行くと、特に女性の方はむくんだ状態で選んで買ってしまうことがあるので、買う時間帯や自分のコンディションを考えて選んでいただきたいなと思います。
お店で試着して買った方がよいのでしょうか。
お店に行くとなると面倒に感じる方もいるかもしれませんが、怪我や、「苦しい辛い」など「痛い」ことが伴ってしまうとスポーツはストップがかかってしまうので、そういう意味でも、シューズは慎重にしっかり選んでほしいです。
そのかわり、ウォッチやウェアは、たくさんの色やデザインからご自分の好きなもの・心地よいものを選んで、楽しんでくださいね。
室内でスローランをする場合は、どうしたらよいですか。
私は普通に素足で行います。新しい室内用のシューズを買う必要はありませんが、スリッパや靴下では滑ってしまいますので、素足で試してもらえればと思います。
未病女子navi読者の皆さんへ
最後に、未病女子naviを読んでくださっている皆さんにメッセージをお願いします。
仕事や育児で忙しかったり、自分自身のことが後回しになってしまう方も多いかと思います。でもやっぱり自分自身が元気でないと、仕事にしても、育児にしてもなかなかうまくいかないですよね。
心身ともに元気でいるために、「スポーツを始めなきゃ!」というような硬い考えではなく、楽しんで自分自身にご褒美を与えるような気持ちでスローランを始めてほしいなと思っています。
パナソニック女子陸上競技部(愛称:パナソニックエンジェルス)
パナソニック女子陸上競技部は、1987年の創部以来、パナソニックの経営理念である『物をつくる前に人をつくる』の精神の下、横浜を活動拠点に選手一人ひとりが日々自己研鑽を図っています。