生活習慣と健康

食物繊維のすすめ

食物繊維は小腸で消化や吸収されずに大腸まで届く食品成分で、植物性食品(穀類、野菜類、果実類、豆類、芋類、海藻類、キノコ類)に含まれています。食物繊維には水に溶けない「不溶性食物繊維」と溶ける「水溶性食物繊維」があり、便秘の予防、血糖値の上昇を緩やかにする、血液中のコレステロール濃度を下げるなどの働きがあります。冷やご飯に含まれるレジスタントスターチにも食物繊維と似た性質と働きがあります。

大腸に届いた食物繊維は腸内細菌により分解(発酵)され、短鎖脂肪酸や水素ガスなどが生成し、それらのほとんどが大腸から吸収されます。短鎖脂肪酸にはインクレチン(すい臓のβ細胞を刺激してインスリンの分泌を調節する働きをもつ消化管ホルモン)の分泌を促進する、エネルギー代謝の調節する、食欲抑制ホルモンの分泌を促進することにより2型糖尿病や肥満症の予防・改善するなどの働きがあります。水素ガスには抗酸化作用があり、活性酸素による疾病に対しての予防・改善など期待されます。食物繊維は大腸の腸内細菌叢を改善する働きもあります。

日本人女性の食物繊維摂取目標量(日本人の食事摂取基準「2020年版」)は18g/1日以上とされていますが、平均摂取量は約14g/1日とやや低めです。1日少なくとも1回の排便、バナナ2本程度の便量、黄色の大便が出ていれば食物繊維の摂取量は足りていると考えて良いでしょう。ひじきや切り干し大根の煮物、納豆、干し柿には食物繊維が多く含まれています。サラダのような生野菜は思うほど食物繊維を摂取できません。煮たり、茹でたりすると多く摂取し易くなります。通常の食生活で摂りすぎになることはあまりありませんが、極端な食生活やサプリメントなどで過剰摂取してしまうと、おなかが張ったり、ミネラルの吸収が妨げられることがあるので注意しましょう。

監修:愛媛大学名誉教授 海老原清先生
協力:大塚製薬株式会社 食物繊維を摂ろう!(別ウィンドウで開く)

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